長野初中オモニ会による初の「コリアン朝市」が5月30日、長野初中の第2運動場で行われた。この朝市は、同胞たちはもちろん、地域の日本市民らにキムチ、チャンジャなど朝鮮料理を販売し、ウリハッキョを広くアピールしようというもの。オモニ会の新たなチャレンジだ。
長野初中オモニ会ではこれまでもチャリティーフェスタなどを通して各種販売活動を行い、学校の運営を支えてきた。新たな試みである今回の朝市は、月に1度、日曜の朝9時から1時間だけ行い、ウリハッキョに一度も来たことがない日本の市民たちを呼び込むのがねらいだ。
チマチョゴリをモチーフにしたさまざまなグッズをはじめ、「万能味噌」作りやキムチ作り、リンゴ農家を手伝ったりハッキョの畑で野沢菜を育てたり… 地域の特徴とアイディアを駆使し多様な活動を繰り広げてきた長野初中のオモニたちが朝市にチャレンジした理由について、趙玉蘭会長(47)はこう話す。
「幼保無償化問題の要請で市役所に行ったとき、とても寂しい気持ちになった。普段から日本の住民の人たちと親しくしているけれど、やっぱり自分たちは区別されて、差別される存在なんだなと。だから、もっと多くの日本の人たちに、ウリハッキョの姿を知らせなければと思った」
朝市はまた、時代の変化に伴うオモニ会の新たな活動方法の一形態でもある。
李寿香副会長(40)は「少子化や過疎化、複雑な情勢の影響で子どもたちの数が減れば、学校事業に携わるオモニたちの人数も必然的に少なくなる。今まではキムパやチヂミ数百個を作ってフェスタに出品してきたけれど、オモニたちの人数が減れば負担は大きくなる。でも、どれだけ時代が変わっても私たちの役割は変わらなくて、子どもたちを守りたい。変化に対応しながら楽しく、有意義に活動する方法を試行錯誤している」という。
オモニ会では数日前から学校の敷地に幟を設置。地元の新聞社に依頼をして織り込みチラシを配ったり、SNSを通じた事前販売も受け付けた。
そのかいあって、開始時刻を1時間控えた当日朝8時には、すでにたくさんの客が並び始めた。中には初めて朝鮮学校に来たという人、新聞の折り込みチラシを見て興味を持ち1時間以上車を走らせてきた人も。開始時間を迎えるころにはあっという間に長蛇の列ができていた。順番待ちの間も新型コロナ感染防止のための検温やアルコール消毒、そして手作りの「万能味噌」の試食準備に余念がないオモニ会のメンバーたち。
「アンニョンハシムニカ。オソオセヨ」。大忙しの中でも、とびきりの笑顔を浮かべながら来場者を出迎えた。
開場から20分も経たないうちに、積み上げた商品はほとんど完売した。
「閑古鳥が鳴いたらどうしようなんて話していたのに、こんなにたくさんの人が来てくれてとてもうれしい。今日の経験を活かして次の朝市をどうするか、頭の中はもうアイディアでいっぱいだ」(趙会長)
長野初中オモニ会による「コリアン朝市」はこれから月に1度、日曜朝9時から長野初中で行われる。2回目の朝市は6月27日を予定している。
(李鳳仁)