「すべての子どもに学ぶ権利を!」朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク行動(2月17日)の第1部では「STOP! 被害の連鎖~守ろう子どもの教育権・人権」と題し、龍谷大学の金尚均教授、山口初中の呉栄哲校長による対談が行われた。

集会では金尚均教授と呉英哲校長による対談が行われた

金教授ははじめに、高校無償化制度からの排除や各自治体による補助金の不支給をはじめとした朝鮮学校に対する差別について「国家権力からすると、朝鮮学校に通う子どもたちは過去に日本が行った植民地支配の証拠であり、証明となる存在。自らの不都合な歴史を覆い隠すため、朝鮮学校があらゆる排除のターゲットとなっている」と指摘。また近年、日本政府や歴史修正主義者らが事実をわい曲し、歴史を正当化することに用いられているのが「フェイクニュース」や曲解した「表現の自由」だと強調した。

金教授は、このような社会情勢のなかで朝鮮学校に通う子どもたちは、「被差別意識を抱えながらも、ウリハッキョで自身の出自を知り、民族の言葉を学び、自分が何者であるかを追求している」としながら、朝鮮学校を守り、維持する意義について言及した。

一方、呉校長は朝鮮学校の子どもたちが差別やヘイトの矢面に立たされていることについて「今や大企業の社長が堂々とヘイトをまき散らし、極右勢力が知事選に出馬している。子どもたちを教える身として、本当に恐ろしい」と述べた。

同校では、1992年から約20年間、朝鮮学校の教育条件の向上、保護者の経済的負担の軽減を目的に、山口県から補助金が支給されてきた。しかし、2010年以降、大都市圏を中心とした朝鮮学校への補助金の打ち切りを背景に、県はこの補助金の目的を地域学校との文化スポーツ交流を通じて県民との相互理解を図ることと意図的に変更。県からの補助金は13年に停止し、宇部、下関も県の判断に続いた。

「苦しい状況ではあるが、山口県ネットワークが結成され、朝鮮学校への支援と連帯の輪が広がりをみせている。これが私たちの力の源となっている」(呉校長)。

呉校長はまた、昨年同校で実施したエアコン設置のためのクラウドファンディングの成果を挙げ「ウリハッキョは多くの支援者らの愛で支えられている。ヘイトにさらされる一方で、子どもたちはあたたかい支えの中で、すくすくと元気に育っている」と支援者たちに謝意を述べた。

その後、質疑応答が行われた。

この日の集会には、山口県議会議員や九州無償化弁護団の金敏寛さん、清田美喜さんらも参加した。

閉会に先立ち、補助金支給の再開と幼保無償化の実現を目指し「多くの仲間とともにたたかい続ける」とした集会アピールが採択された。

閉会のあいさつを山口初中の盧仙花教員が行った。盧教員はクラウドファンディングに多くの支援が寄せられたことについて触れ「勇気と頑張る意欲をもらった。また朝鮮学校は間違っていないという確信を得た。これからも子どもたちを、同胞社会や世界で活躍できる人材に育てていきたい」と力を込めた。

2部では参加者たちが場所を移し、下関駅前で街頭宣伝を行った。参加者たちは幼保無償化や補助金再開を求める横断幕を掲げながら、道行く人にリーフレットを配布し、日本政府による朝鮮学校に対する差別の不当性を訴えた。

参加者たちはこの日、子どもたちの学ぶ権利が保障される日まで声を上げ、闘争を続ける決意をいっそう強めた。

(全基一)