〈幼保無償化問題〉幼稚班無償化についてのQ&A

幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」が、Q&Aのパンフレットを作成した。以下、その内容について紹介したうえで、今月2日に行われた立憲民主党主催の子ども・子育てPTでの文科省や厚労省担当者との質疑応答についても、重ねて紹介する。

幼保無償化についてのQ&A

  Q. 幼保無償化ってなに?
 改正「子ども・子育て支援法」で決まった幼児教育・保育の無償化(以下、幼保無償化)とは、幼稚園、保育園、認定子ども園の教育費を国が補助する制度です。2019年10月から実施されます。
支給には所得制限は設けられておらず(0~2歳児の保育料については一部制限あり)、幼稚園が公立か私立か、保育園が認可か認可外かなど、通う施設の制限もありません。
  Q. どうして幼保無償化が実施されることに?
 日本政府によると、下記のような理由があげられています。
1.高額な教育費が少子化の原因のひとつになっている
2.子育て世代の負担を減らすことで、どんな家庭の子どもも、質の高い教育が受けられる。
3.2019年10月の消費税増税による税収の半分を国民に還元する
幼保無償化の国の予算は7764億円が見込まれています。
消費税増税で見込まれる税収増は5兆6000億円ですから、増えた税収の15%弱が幼保無償化に充てられる計算です。
  Q. すべての幼稚園が無償化対象になりますか?
 なりません。日本政府は、「3~5歳の幼児教育・保育の原則無償化」をうたっていますが、実際には各種学校や幼稚園類似施設という形態の幼稚園を無償化の対象外としています。
  Q. なぜ、各種学校は除外されているの?
 日本政府が除外の方針を決めたからです。日本政府は、各種学校の幼稚園が対象外になる理由として
1.学校教育法1条の学校と異なり、個別の教育に関する基準がなく、多種多様な教育を行っているため
2.認可外保育施設にも該当しないため
としています。
朝鮮幼稚園も、認可された幼稚園や保育所に類する教育や保育を行っていて実態やそれに限りなく近いにも関わらず、結局、各種学校だからという理由で対象から外されました。
無償化から除外されることになった各種学校の幼稚園は全部で88校。朝鮮学校幼稚園40校、インターナショナルスクールなどの外国人学校幼稚園48校です。
  Q. 「すべての子ども」とうたっているのに、一部の施設だけを無償化しないの?
 法律で「すべての幼児教育・保育の原則無償化」をうたっているのに、通う施設によって無償化になる子どもがいて、適用外になる子どもがいること自体がおかしいです。
みんな同じ日本社会に暮らす子どもたちです。しかも、今回の幼保無償化は、消費税増税分をその財源としています。このたび無償化適用外となる各種学校の幼稚園や幼稚園類似施設に子どもを通わせている親たちも、もちろん消費税増税分を納税します。それなのに、恩恵は受けられないというのは、あまりにも不当です。
  Q. それは差別にならないの?
 無償化の適用対象となるのが、認可外保育施設も含め約5万5000施設にのぼるそうですが、私たち朝鮮幼稚園を含む各種学校の幼稚園はそのわずか0.16%程度に過ぎません。しかもその各種学校とされているのはすべて外国人学校です。その点をみると、各種学校だからというのは一つのレトリックで、本当のところは外国人学校、朝鮮学校を排除しようとする差別を隠す意図があるのではないでしょうか。
朝鮮学校に対する高校無償化排除、地方自治体の補助金停止削減に続き、今回明らかになってきた幼稚園児までも排除する方針は、民族教育に対する新たな差別政策をお積み重ねることになります。
  矛盾する回答内容/子ども・子育てPTでの質疑応答
  議員:法令上、各種学校における幼児教育の位置づけが不明確ということだが、今後それらに対する法令上根拠が明確になるような対応策を講じる意向はあるのか。

担当者:幼児教育は幼稚園、保育所、認定子ども園でおこなっている。それぞれについては法律に基づき基準がつくられその基準を満たして申請すれば認められるようになっている。

議員:いずれにしても各種学校のなかには、自動車学校や教育機関としての国際学校などがあるが、教育機関という側面で考えれば小さい子どもから大人まで対象になりうる。法律の枠内でこの対象が担保されることを考えれば、対応策を考えるべきだ。

担当者:(明確な返答なし)。

議員:全国の市議会、自治体議会からどれぐらいの意見書があがってきているのか。

担当者:幼児教育課のほうに(意見書が)届いたものはない。そのため把握していない。

議員:意見書が届いていないということだが、それが届いた時点で官報にも記載されるはずだ。いったい市議会などから届いた意見書はどういう扱いになっているのか。各大臣に送られた意見書であるから、それをうけた担当省庁は担当部署に意見書がきている旨を伝えないルールになっているのか。自治体や議会からのたくさんの意見書は、担当者は見ないのか。

担当者:内容的には文科省で検討している内容だと理解している。

担当者:報道などでは意見書がきていることは知っているが、このようなものみたのは初めてだ。

議員:それは意識が低すぎるのでないか。報道で出ているのであれば、本当にきているのか、いったいいくつの議会からあがっているのかなど確認をしてそのうえで本当に対策が必要かどうかを、地方の考えを把握して検討するのが、あなたたちの役目ではないのか。

議員:各種学校に対しても行政的な努力をやるべきだと考える。

担当者:法律によって担保された施設に限る、制度上そのようになっている。

議員:幼稚園類似施設についても検討をしているということだが、各種学校における幼児教育施設も含んでいるのか。

担当者:含んで検討している。