”判決、世界が注視している”

関係者が21日、最高裁判所を訪れ署名の提出と要請を行った。

朝鮮学校を高校無償化制度の指定対象から外したのは違法だとして、広島朝鮮初中高級学校を運営する広島朝鮮学園と同校卒業生ら109人が国を相手取り起こした国賠訴訟(広島無償化裁判)と関連し、同校の李昌興校長と4人の原告代表をはじめとする関係者が21日、最高裁判所を訪れ署名の提出と要請を行った。東京無償化裁判弁護団の李春煕弁護士が同席した。同種訴訟と関連し、最高裁判決を控えて署名提出・要請を行うのは今回が初めて。

この日提出された署名は「広島無償化裁判を支援する会」「日朝友好広島県民の会」「民族教育の未来を考える・ネットワーク広島」「朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会」が呼びかけ団体となり、最高裁に対し公正公平な判断を求め、昨年10月の控訴審判決以降行われたもの。日本各地から2万9,029筆が集まった。

要請を最高裁の関係係官が対応した。

署名は29,029筆集まった

要請ではまず、李校長が要請文を読み上げた。要請文では、高校無償化制度は本来、教育の機会均等を目指した法律であり朝鮮学校もその対象として制度設計がなされていること、法制定の審議において政治外交的な理由は考慮しないとされていたことを指摘しながら「朝鮮民主主義人民共和国との間で拉致問題の解決が発展していないなどを理由として不指定処分としたことは(中略)文部科学大臣の裁量権を逸脱している」と非難。さらに過去、国連の「子どもの権利委員会」や「人種差別撤廃委員会」から朝鮮学校を無償化制度の対象とするよう勧告が出されたことを言及しながら「朝鮮学校を(無償化の対象から)除外したのは違法」であると強調した。そのうえで最高裁に対し▼「高校無償化法」の趣旨、理念に沿って審議すること▼朝鮮学校に通う子どもたちの尊厳を守るため、公正公平な判断を下すことを求めた。

判決控えた原告の思い

続いて4人の原告代表と、同校出身で現在朝鮮大学校に通う2人の学生がそれぞれ思いを述べた。

裁判が始まった当初、高級部3年だったという原告(25)は「闘争が始まって8年が過ぎた。妹弟も広島初中高に通っているが、かれらが自分と同じ苦しい思いをしていると考えると、胸が痛い」と吐露。政治的な理由で子どもたちの教育権がはく奪されている状況に対し憤りをあらわにした。

またある原告(24)は、これまでの各地4カ所で出された不当判決は日本政府が率先して行った差別であると指摘。「日本社会においてはヘイトスピーチ解消法の制定などを契機に、在日外国人に対する差別撤廃のうねりが少しずつ起きている。にもかかわらず日本政府が率先して『在日朝鮮人は差別してもいい』と後押しするのはいかがなものか」と語気を強めた。

「私たちは10年以上闘い続けている。今、感じるのは『いつ思いが報われるのか』という先の見えない落胆だ」と力なく話すのは、現在社会人5年目として活動する原告(27)だ。

「高級部卒業、大学卒業、就職など人生の転換期を迎えるたび、日本政府の朝鮮人差別政策に苦しみ、悲しい思いをしている後輩たちの姿が変わっていないことに悲しんだ。一刻も早くこの状況を止めたい。最高裁が公正、公平な判断をすることを切に願っている」。

高3の時、1審判決を目の当たりにしたという朝大・政治経済学部4年の方陽菜さんは、原告となった先輩たちに思いを寄せながら「不当判決と知らされたときの悲しみ、怒り、くやしさは言葉で言い表せないものだった。今日提出した署名は、その一筆一筆に原告、卒業生、在校生をはじめとする在日同胞と日本市民らの思いが込められている。ぜひその思いをくみ取ってほしい」と切実に語った。

要請では原告代表と、同校出身で現在朝鮮大学校に通う2人の学生がそれぞれ思いを述べた

原告が署名を手渡し、李校長が発言した。

李校長は「現在、高校無償化のみならず幼保無償化からも朝鮮学校排除がまかり通っており、在日朝鮮人の子どもたちに対する国の差別を司法が容認している状況だ」と述べた。また「今回は、各地での高校無償化裁判のうち最後に下される判決ということもあり、北南朝鮮や世界が注視しているはずだ。司法には人権の砦としての役割を果たしてほしい」と強調した。

同席した李春煕弁護士は「最高裁判決を控え約3万筆の署名を集めた広島のとりくみに敬意を示したい」としながら「最高裁には、弁護団が提議した論点にしっかり向き合い、原告らが納得のいく判決を出してほしい」と語った。

また、この日の要請には「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」の共同代表を務める長谷川和男、田中宏さん、「I女性会議」中央常任委員の鴻巣美知子さんが応援団として駆け付け、関係者らにエールを送った。

同種の裁判を巡っては、2019年8月27日の東京と大阪に続き、愛知で昨年9月、九州で今年5月27日に原告の敗訴が確定している。

(金紗栄)