当事者として、これからも

幼保無償化実現のため街頭活動に臨む

2010年に高校無償化制度から朝鮮高校が除外されて以降、朝青北海道朝高委員会は民族教育権を擁護するための運動に、積極的に取り組んでいる。2019年度からは当時高3だった生徒たちの発案をきっかに、毎月1回「火曜行動」の日を設けて街頭活動を行ってきた。

開始当初の朝高生は7人。同校の趙崇来教員によると、街頭活動の目的を「ひとりでも多くの人たちに問題を知ってもらう」ことに定め、協力を募り、規模を拡大しようと努めた。はじめは10~20人程度だった参加者数が、19年の年末には、朝青員や日校生、オモニ会、アボジ会、日本人支援者たち、日本学校の高校生など約70人が集うようになった。

新型コロナウイルス感染症拡大を受け、2020年2月18日以降は有志たちがスタンディングで街頭宣伝を続けている。一方、朝高生たちも、スタンディング用のポスター制作や日高生を対象にリモート学習会などを行い100万人署名活動にも積極的に参与してきた。

幼保無償化実現のため街頭活動に臨む

朝高委員会委員長の李知湖さん(高3)は、初めて幼保無償化から朝鮮幼稚園が除外されたと聞いた時は「『また差別か』という感情しかなかった」が、問題の不当性を具体的に学んでいくにつれ、だんだんと怒りの感情が込み上げてきたという。

「この日本社会の現状を一人でも多くの人に知らせたい。知らないところで差別が蔓延している事実に少しでも目を向けてもらいたい」

幼保無償化実現のため街頭活動に臨む

そのような思いで臨んだ署名活動だが、風当たりは厳しかった。

署名用紙を持った朝高生らをわざと避けて歩く人や脇目も振らず通りすぎる人、中には心ない言葉を浴びせる人も。李さん自身も嫌味を聴かされた。

「関心を持つ人が少なすぎる」――李さんは「自分たちの声に耳を傾け、話を聞いてくれたら必ずその不当性を知ってもらえるのに、そうすることができない。『朝鮮は悪い』という先入観からそもそも見向きもされない事実に心が痛んだ」という。

だからこそ、歩み寄って署名に協力してくれた人、自分の事として話を聞いてくれた人、ともに闘う日本の支援者たちや日本学校の友人たちの姿が心強かった。

「当事者として、今後も闘いの中心に立たなければと強く感じた」(李さん)

100万人署名の経験は李さんたちにとって、朝高生という自らの「立場」を考える貴重な糧となった。

李さんは言う。「差別が蔓延する日本社会で、日本政府による差別的政策の本質をしっかりと見極め、その不当性を直視する。強い問題意識とブレない心で仲間たちと団結し、勝利の日まで闘い続ける。朝青運動を通して、そのための確固たる軸を培っていきたい」。

(李鳳仁、おわり)