30日、幼保無償化問題の関係府省に対する福岡・山口の要請活動では、6万7601筆の署名と要望書が提出された。要請では朝鮮幼稚園の関係者、紹介議員らがそれぞれの思いを述べた。発言内容の一部を紹介する。

山口初中・呉栄哲校長

山口初中・呉栄哲校長

2013年、高校無償化の対象から朝鮮学校が除外されるという通知が出た翌日、県と市からわが校の補助金カットを知らせる電話があった。20年近く支給されてきた補助金が、たったの電話一本で停止されてしまった。それから長い間権利獲得のため闘ってきたが、現在では3歳の子どもまでもが差別されるようになってしまった。

日本政府は「子ども・子育て支援法」で「すべての子どもたちに」とうたいながら、なぜ各種学校に通う子どもたちを無償化の対象から除外したのか。対応している関係省庁の皆さんも教育に携わる人として、このような差別を絶対に野放しにしてはいけない。

留学同九州本部・宋知樺委員長

留学同九州本部・宋知樺委員長

日本の大学に通う在日朝鮮人の学生たちは、自身が朝鮮半島にルーツを持つ人間として、民族について真摯に向き合い、日本社会でどう生きるべきか日々葛藤している。また今の日本社会は、民族教育を受けることを選択をした人びとに生きづらさを与えている。このような状況を差別以外に何と言えばいいのだろうか。

「多文化共生」を目指すという日本社会の現実は排外主義にまみれているとしか言いようがない。

国民民主党・城井崇衆議院議員

国民民主党・城井崇衆議院議員

現在の日本の法律上では「学校とは」、「子どもたちの居場所とは」という問いに対する解釈はかなり狭い。だが朝鮮学校の保護者をはじめ多くの人びとが幼稚園、保育園、認定こども園以外にも「子どもたちの居場所」が存在すると主張している。

現状として、今の法律の範囲だと、現場の要望と行政の運用の間でかみ合わない部分がでている。

「福岡県朝鮮学校を支援する会」・中村元氣共同代表

「福岡県朝鮮学校を支援する会」・中村元氣共同代表

以前、教鞭をとった経験がある。学校で子どもたちには「差別はあってはならない」「すべての子どもと仲良く過ごさなくてはいけない」と教えるが、今の日本社会の現状からみると、その言葉には矛盾が生じ、子どもたちに説明がつかない。

幼保無償化のみならず、高校無償化などの朝鮮学校排除の問題にももっと注目して、すべての子どもたちの居場所を守るために検討を重ねてほしい。

(金紗栄)