東京朝鮮学園関係者らが公明党の高木美智代衆議院議員を訪ね、幼保無償化運動への協力を要請した。

幼保無償化と関連した要請活動の一環として、東京朝鮮学園関係者らが27日、公明党の高木美智代衆議院議員を訪ね、協力を要請した。東京朝鮮学園の金順彦理事長、李英順部長、「幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」(保護者連絡会)の宋恵淑代表、西東京第2初中付属幼稚班の保護者らが参加した。

保護者連絡会が昨年に行った各政党、国会議員などへの協力要請につづき、東京朝鮮学園でも各政党や国会議員、都・区議会議員などへの働きかけを積極的に行っている。

東京朝鮮学園の金順彦理事長は要請の席で、朝鮮幼稚園が幼保無償化制度から除外されていることに反対し、無償化適用を求める署名運動が昨年12月から各地で繰り広げられていると強調。また、都内各地で行われる「朝・日友好新春の集い」、東京第4初中で行われる「日朝教育交流のつどい」などで、幼保無償化問題に対する広範な日本の人々の関心を高めていくつもりだと語った。

保護者連絡会の宋恵淑代表は、朝鮮幼稚園の現状、幼保無償化除外の不当性などについて説明し、「朝鮮幼稚園は、共働き世代を支援する延長保育を実施するなど保育の受け皿にもなっている『実態』がある。それにもかかわらず幼保無償化の関連省庁の役人らは、朝鮮幼稚園の保護者たちからヒアリングすらせず、その『実態』を把握しようともしない」「子どもたちの権利として学びの場が確保されてほしいというのが、保護者たちの切なる願いだ」と語った。

高木美智代衆議院議員(左)に対して、それぞれの思いを語る保護者たち

西東京第2初中付属幼稚班に子どもを送る梁淳喜さん(36)は、朝鮮学校で講師を務めるほか、神奈川県相模原市にあるインド系インターナショナルスクールで日本語を教え、日本学校に通う在日同胞の子どもたちに朝鮮語を教えている。

「バックグラウンドは違えども、みんな同じ子どもたち。だけど社会的マイノリティーだけが、制度の線引きによって区別されている。その姿を見ると、親として悲しい気持ちになる」(梁さん)

東京朝鮮学園の李英順部長は、「政府は『多種多様な教育』を、朝鮮幼稚園を幼保無償化から除外する理由としているが、多様性を受け入れてこそ社会が発展していくのではないか」とし、「制度やイデオロギーはさておいて、子育て世代の生活の問題として考えてほしい」と訴えた。

学園関係者らの真摯な思いを受け、高木美智代衆議は朝鮮幼稚園に対する各地方自治体の支援状況などについて一つひとつ丁寧に質問しながら、「地方自治体との信頼関係を築き、地域レベルから徐々に支援の輪を広げていくことが大事だと思う」と述べ、幼保無償化問題への取り組みが「徐々に前進するように力になりたい」と語った。

(李永徳)