伊丹初級幼稚班で公開保育が行われた

伊丹初級付属幼稚班の公開保育が1月31日に行われた。伊丹市議と宝塚市議、日本市民らが同校を訪れ、園児たちの授業を見学した。公開保育は「朝鮮学校を支える宝塚市民の会」(「市民の会」)が発案し、学校側が全面的に協力する形で実現。市議らが同校幼稚班の授業を見学するのは今回が初めてで、この日の公開保育には、野党所属や無所属の伊丹市議6人、宝塚市議2人と「市民の会」メンバーをはじめとした日本市民らが参加。同校の金幸一校長、兵庫朝鮮学園の金錫孝理事長、総聯伊丹支部の金炳潤委員長、総聯宝塚支部の全仁成委員長が同行した。

「除外される理由見当たらない」

伊丹初級付属幼稚班公開保育は、日ごろから同校に対する支援を継続的に行っている「市民の会」が、朝鮮幼稚園の教育内容や民族教育を受けながらのびのびと育つ子どもたちの姿を幅広く知らせる目的で発案。学校側の全面的な協力のもと、市議や日本市民らに広く呼びかけを行い実現した。

この日、一行はまず、金校長らの案内で幼稚園の教室を見て回り、園児らの授業を見学。朝鮮語を使い元気に走り回る園児たちの姿に時折参加者から拍手が沸き起こった。最後に園児ら全員で合唱を披露すると涙を流す参加者も見られた。

授業を見学する市議会議員ら

伊丹市議の髙橋有子議員(立憲民主党)は「小さい子どもたちが朝鮮語を上手に使い生活していることが素晴らしいと感じた」と感想を述べ、「朝鮮語で授業が行われている以外は日本の幼稚園と一緒だし、幼保無償化制度から除外される理由も見当たらない。自分が見た朝鮮幼稚園の現状を幅広く知らせていきたい」と話した。

「市民の会」の小川和子さん(67)は「朝鮮語で一生懸命に歌を歌い、自分を表現している子どもたちの姿を見て感動した」とし「この子たちが幼保無償化制度から除外されているという事実が本当に悲しい。民族の文化や言葉を学ぶことがしっかりと保障されるよう頑張りたい」と述べた。

授業見学のあと、金幸一校長と金錫孝理事長が同校の沿革や教育内容、兵庫県下の民族教育の現状などについての説明を行った。

園児たちの元気な姿に涙を浮かべる参加者も

金幸一校長は近年、高校無償化制度や幼保無償化制度からの朝鮮学校除外により、同校や民族教育全般を取り巻く環境が厳しさを増していることについて触れ「幼保無償化が適用されず、幼稚園の保護者やこれから子どもを通わせようとする親からも不安の声が上がっている。この状況が一日も早く改善されるよう協力をお願いしたい」と話した。

金錫孝理事長は「日本の園児たちと同じように、教室で元気に生活していた子どもたちが不当な差別の対象となっているというのが現実だ。政府が朝鮮幼稚園の子どもたちにも平等に権利を保障するよう、各自治体からも声を上げてほしい」と訴えた。

「民族教育の大切さ知って」

幼保無償化問題をめぐって同地域では昨年、伊丹初級学校関係者や日本人支援者らが宝塚市役所(9月17日)と伊丹市役所(11月11日)をそれぞれ訪問。各市議会議員らの同席のもと市長と面談し、幼保無償化の対象から朝鮮幼稚園を含む各種学校の幼稚園89カ所を対象外にする政府の姿勢は民族教育に対する新たな差別政策であると批判した。そのうえで政府が方針を改め全ての子どもたちに無償化を適用するまでの救済措置として、市からの補助金を無償化の対象となっている幼稚園並みの月額2.57万円に増額することを求めた。また12月13日には、「市民の会」をはじめとする日本の14市民団体の連名で宝塚市長宛てに要望書を提出した。

授業見学後、同校の沿革や教育内容などについての説明が行われた

伊丹市長への要請にも同席した伊丹市議会の岸田真佐人議員(立憲民主党)は「今回、授業を見学して、朝鮮幼稚園が子どもたちの豊かな表現力を養う教育に力を入れていると感じた。素晴らしいことだし、日本の教育の現場でも見習うべきところが多いと思う」と感想を述べ、「幼保無償化制度から朝鮮幼稚園をはじめとする各種学校認可の外国人学校が除外されている現状を何とかしなければならないと感じている。できる限り力を尽くしたい」と話した。

「市民の会」の田中ひろみさん(72)は「今回の公開授業を通じて民族教育の素晴らしさを伝え、子どもたちが朝鮮人として立派に育つために朝鮮学校や朝鮮幼稚園がどれだけ大切な場所かということを広く知ってもらえたら」とし、「子どもたちが朝鮮人としての誇りをもって生きていけるよう、今後も学校と協力しながら差別是正のために活動していきたい」と話した。

(丁用根)