25日、東京朝鮮学園関係者らが都に対し要請を行った。

幼保無償化と関連し、東京朝鮮学園関係者らが25日、東京都に対し要請を行った。

要請には、東京朝鮮学園の金順彦理事長、李英順部長、東京朝鮮学校オモニ会連絡会の厳廣子代表、東京第6初級付属幼稚班の尚明淑主任、「高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」の長谷川和男共同代表、都内朝鮮幼稚園の保護者を代表し宋恵淑さんが参加した。

この日の要請は、東京都生活文化局私学部の濱田良廣部長、野口昌利課長が対応。各種学校をはじめとする都の私学振興・行政を担う私学部から、約10年ぶりに部長が参加した。またこの日の要請は、先日、東京第6初級を訪問した都議会公明党の高倉良生都議(都議会公明党政調会長)、大松あきら都議が紹介議員となった。

要請ではまず、学園関係者たちが発言した。

宋恵淑さんは、「 (朝鮮幼稚園は)各種学校として東京都が認可した立派な施設だ。制度設計においては、保護者の声が反映されないまま除外された経緯があるので、都がそれを補完する形で国に働き掛けてほしい。各種学校の幼児教育施設でマイノリティの子どもたちは健やかに成長している。子どもの権利の観点に立ち返って、各種学校に通う子どもたちが都にいるということを、保護者や地域のニーズがあるということを、国に対し積極的に声をあげてほしい」と話した。

尚明淑主任は「私たちの幼稚園や園児たちは、日本の園児たちと何が違って除外されたのか。とても悲しい気持ちでいっぱいだ」とし「子どもの目線に立ち、いまの制度が平等であるのかどうかを考えてほしい。そして見直していただくためにも、ぜひ一度幼稚園に来て園児たちの様子もみてほしい」と訴えた。

長谷川和男共同代表は、都の公立学校教員として40年近く勤めていた自身の背景について語りながら、「2017年6月から、約半年をかけて各地の朝鮮学校を訪問するなかで、幼稚園の教育が素晴らしいと思った」と話した。そのうえで、「子どもたちの自主性を育てるために、幼児期から自然と朝鮮語を学べるような指導の仕方、主体性を重んじる教育を見事にやっている朝鮮幼稚園に感動した。高校無償化に続き、今回、幼保無償化からも排除されることは、朝鮮学校の存続を兵糧攻めにして潰していくのではないかと危機感を抱いている」と述べた。

金順彦理事長が、私学部部長へ要請書を手渡した。

また李英順部長は、昨今、文科大臣が、現在対象外とされている幼児教育類似施設について、各自治体における「ニーズ」を基調に支援する意向を示していることや、その対象についても、認可外施設としての申請を前提とするような発言をしていることに懸念を示した。李部長は「朝鮮学校は、各種学校としての認可を東京都にもらい、指導もうけ、カリキュラムも提出し、視察にもきてもらっている。そういう意味では、教育の質が担保できる・できないということを理由にあげてはいけないはずだ。認可権者で指導権をもつ東京都が、各種学校を含めるべきだと国に働きかけてほしい」と語った。

また厳廣子代表も「朝鮮学校が各種学校認可を得るまでの過程には、文部省から各種学校にしてはならないという通達があったものの、自治体による決断、頑張りがあった」とし「国が足りないときには東京都が率先して頑張ってほしい。都民として強く要望したい」と指摘した。

学園関係者らの発言をうけ、私学部の濱田良廣部長は「この場でどうこうとは申し上げられないが、皆さんの話はお伺いし要請書も頂戴した。皆さんのお考えは届きました」と答えた。

要請の最後に、小池百合子都知事宛ての要請書を手渡した。要請書は、(1)各種学校の幼児教育・保育施設を無償化の対象として認めるよう、地域のニーズとして都が日本政府に対し要請すること、(2)地域住民である保護者に対し、地方行政独自の救済措置を講じることを求めた。

東京朝鮮学園では、来年も引き続き、国のみならず都や区など各自治体に対し、朝鮮幼稚園が保護者や地域にとってニーズのある施設であることを、多方面から働きかけていく。

(韓賢珠)