“皆が支えているよ”

朝大研究院生たちが「全国幼稚班応援プロジェクト」を企画し、各地の朝鮮幼稚園へ手づくりカレンダーを届けた。

朝大研究院生たちが企画し、各地のすべての朝鮮幼稚園にカレンダーを送るという心温まる取り組み「全国幼稚班応援プロジェクト」が行われた。

企画したのは、朝大研究院の7人(金春玉、柳民秀、康慶秀、金慶柱、姜来娜、宋尹学、金龍真)。朝青運動における実践活動の一環として、いまの同胞社会に貢献できることは何かと考えた末、発案したのが朝鮮語のカレンダーを制作し各地に41ある朝鮮幼稚園に送ることだった。

研究院生たちは年間を通じて、幼保無償化をはじめ、現在、在日朝鮮人を取り巻く諸権利の状況について学習を重ねてきた。11月2日に行われた全国集会&パレードにも積極的に参加する過程で、「民族教育の第一段階である朝鮮幼稚園が弾圧されていて、そこに無関心でいたら駄目だなと。いま最も重要な民族教育のために何かできることはないかと考えた」(金春玉さん)という。

子どもたちの年齢や心理に合わせ研究院生たちが思考を凝らし作成したカレンダー

大学卒業後、弁護士や司法書士などの資格取得に向けた勉強や、専門知識を蓄えるため大学院に通うなど、同胞社会に直接的に貢献する場がないことから、「幼保無償化制度から朝鮮幼稚園が除外されるという状況のなかで、現場の先生や子どもたちに少しでも喜びを与えられるような活動をしたかった」(金春玉さん)。

10月にプロジェクトを立ち上げてから約2カ月の間、学業の合間をぬって、金龍真さん(研究院予科・美術科卒)がデザインを、そのほかのメンバーで朝鮮語の打ち込みを行った。その後、朝大出版部の協力のもと印刷を行い、完成にこぎつけた。

一方で、研究院生たちは、各地の朝鮮幼稚園に直接電話をかけ、企画の趣旨や発送の旨を説明。最初は、ただカレンダーをつくり応援しようとはじめたが、準備する過程で「幼保無償化に関する現地の状況や、今の制度的な欠陥など総合的な学習をするきっかけにもなった」と金春玉さん。

カレンダーを受け取った広島初中高付属幼稚班の児童たち(同校提供)

受け取った朝鮮幼稚園からは、SNSを通じ感謝の報告が相次いでいる。

広島初中高付属幼稚班の金清美主任は、「終業式の日、明日から冬休みに入る児童たちにプレゼントが届いたと紹介した」と喜びをあらわにしながら「かわいらしい絵や子どもたちも読める朝鮮語のカレンダーに『わあー』と歓声があがり本当に嬉しそうだった。中身も園児らの年齢や心理に合わせていて感心した」と感想を述べた。そのうえで「直接接したことがなくても、多くの人たちが声援を送ってくれていることを、カレンダーを通じて肌で感じ、本当に力が沸いた」と、研究院生たちへの謝意を示した。

企画した研究院生たちは「先生方や子どもたちが喜んでくれて本当に嬉しい」「日頃接することはなくても、支える人が各地にいるんだよと伝えたい」などと感想を述べ、今後も同胞社会に力を与える活動を積極的にしていきたいと意気込んでいる。

(韓賢珠)