幼保無償化制度の対象外となっている幼稚園類似施設等への支援に関し、3月24日、立憲民主党の子ども・子育てプロジェクトチーム(PT)が衆議院議員第2会館で聞き取りを行った。

立憲民主党の子ども・子育てPTによる聞き取りが行われた

同党の阿部知子衆議、大河原まさこ衆議、岡本あき子衆議、尾辻かな子衆議、中川正春衆議、早稲田ゆき衆議、無所属の今井雅人衆議が参加し、文科省の担当局と幼児教育類似施設の関係者たちに聞き取りを行った。「幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」の宋恵淑代表をはじめとする朝鮮幼稚園関係者らがオブザーバーとして参加した。

座長を務めた阿部知子衆議のあいさつの後、文科省初等中等教育局の担当職員が、幼保無償化制度の対象外となっている施設に対し文科省が新たに開始する調査事業について説明を行った。

調査事業は文科省が自治体に委託する方式。事業を受託した自治体は調査事業に加え、来年度の予算で対象施設等に対し財政支援を行う。事業を行う自治体の公募は3月23日から始まっている。

続いて、無償化制度の対象外となっている幼児教育類似施設等を代表し、NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟、NPO法人はばたき2・3才児保育ひよこ会(神奈川県藤沢市)、一般社団法人森のきょうしつ「ののはな」(神奈川県鎌倉市)の関係者たちが、支援の在り方等について意見を述べた。

無償化制度から多くの施設が対象外となっている森のようちえんでは、森のようちえん全国ネットワーク連盟に加入している団体会員のうち、過半数で新入園児が減少している。連盟の小林成親理事は見学希望者が減ったり、保護者から無償化に関する質問が寄せられている現状を報告し、これについて、「(無償化制度から除外されていることの)影響があるのではないか」と指摘した。

「ひよこ会」の大野安代さんは「各家庭の損得勘定が非常に強くなっている」と述べ、無償化の対象であるかどうかにより入園を決める家庭が「大多数」であるとし、「制度の在り方によって、必要とされているのに活動が続けられなくなる園が出てくることが問題ではないか。ニーズにあった政策をしてくれたらありがたい」と話した。

「ののはな」の清水研代表は、無償化が始まった後、同じ施設に通う子どもたちの中でも、居住する自治体によって財政支援の有無が分かれている状況が「不公平感」を生んでいると訴え、調査事業を行う自治体の公募が行われる場合も、「都道府県、市町村に働きかけてくれたら」と話した。

その後、意見交換が行われた。

中川正春衆議は幼保無償化の基本理念である全ての子どもたちへの支援を行うためにも、無償化を施設ではなく、子ども一人ひとりに支援を行うスキームに仕組みを切り替えていく必要があると指摘。

また、今井雅人衆議は「調査の件でも、(自治体の)支援を受けているところだけ調査すると、(支援を受けていない施設等は)なぜ支援を受けていないかが見えない。そこが一番問題ではないか」と述べ、現在、自治体の支援を受けていない幼児教育類似施設等に対しても対策をとる必要性を示した。

早稲田ゆき衆議は現在、幼稚園類似施設等に対して支援を行っていない自治体についても調査を検討すべきだと述べた。

宋恵淑代表は、各種学校の幼稚部が幼児教育類似施設であるかどうか、自治体によって判断が分かれている現状を指摘し、新しい調査事業においては、各種学校も対象に含まれることを、文科省から通知を出すなどして周知し「調査対象にしっかり含めてほしい」と要請した。

(文・金孝俊、写真・韓賢珠)