愛するオリニたちの為に

朴住浩さん

朝鮮幼稚園の幼児教育、保育の無償化適用を求め2019年12月から行われてきた「100万人署名運動」。

神奈川県青商会では、県下8つの地域青商会において会員たちが主体的に署名集めを展開。また、同胞やウリハッキョの生徒たち、日本の有志らとともに県下の主要駅で行った街頭宣伝や署名運動にも、県下青商会の会員たちは仕事帰りなどの空いた時間を利用して積極的に参加した。

なかでも神奈川県西横浜地域青商会で常任幹事を務める朴住浩さん(33)は、100人に及ぶ人々から署名を集め、子どもたちの正当な権利を求めて奔走した。神奈川県青商会の呉亨世幹事長は、「彼は同胞社会に対する熱い気持ちを心に秘めていて、青商会で行われるさまざまな行事、活動に積極的に取り組む。会員たちからの信頼も厚い」と話す。

朴さんが問題意識を抱くきっかけとなったのが、19年11月に東京・日比谷屋野外音楽堂で開催された「朝鮮幼稚園はずしにNO!すべての幼児に教育・保育の権利を! 11.2全国集会&パレード」だった。

神奈川県青商会の崔炳琥会長から幼保無償化問題について「考えを深めるいい機会だ」と誘われ、集会に参加したという。集会を通じて、「子どもたちが差別される理由はどこにもない。これはおかしいと思った」。

もともと子どもが大好きで、なかでも「ウリオリニたちは素直で魅力的だ」という朴さん。西横浜地域青商会では民族教育文化部で、学齢前オリニや初級部生を対象にしたキッズイベントの企画や運営を担っている。だからこそ、「ウリオリニたちが、いじめられている現状を見過ごせなかった」(朴さん)。

「朝大を卒業し、青商会活動で培った人脈を存分に生かすことが自分に唯一できること」と、学生時代から現在に至るまで親交のある人々を訪ね、協力を呼び掛けた。

朴さんは「みんな快く署名してくれた」と署名活動を振り返りながら、約107万筆に達した今回の署名運動についてこう語る。

「同胞たちが抱くウリハッキョに通う子どもたちへの深い愛情を改めて実感した。強いつながりで結ばれた同胞社会が力を合わせれば、100万筆を集めることだって不可能ではなかった」

「豊かな同胞社会のため、子どもたちの輝ける未来のために」―。先代の会員たちから受け継がれてきた青商会のスローガンを胸に、朴さんは「子どもたちに何不自由のない環境を築きあげるのが大人たちの役目だ」と力を込める。

「今の子どもたちが大人になった時、次はその子らが後輩のために一肌脱いでくれれば。そのためにまずは、自分たちの背中をしっかりと見せないと。絶えずアプロ(前へ)進むのみです」

(全基一)