記者会見のようす

兵庫県が県内の外国人学校に対する補助金(外国人学校振興費補助)を朝鮮学校のみ大幅に削減していること、幼保無償化から朝鮮学校を除外した国の政策に追従し県として何ら支援策を講じていないことを受け、兵庫県内の研究者が中心となり抗議声明「朝鮮学校生徒の学ぶ権利の保障を求める研究者声明」を発表した。5日、兵庫県知事宛てに声明を提出した。

声明は県内の研究者7人が呼び掛け人となり、各地の大学教員や教授など432人が賛同。▼「外国人学校振興費補助」の減額を速やかに撤回すること▼幼児教育・保育無償化制度から朝鮮幼稚園を含む各種学校を除外したことについて、国に改善を要請し、県として支援策を講じることを求めている。

県は県下の外国人学校に対して補助金を支給してきたが、2014年度以降、朝鮮学校に対してのみ支給額を徐々に削減。2018年度には「優れた学習環境を提供」する学校の指標として「教員の2/3以上が日本の教員免許を所有すること」という新たな交付基準を設け、外国人学校12校中、交付基準を満たさない朝鮮学校6校への補助金を2分の1に大幅削減した。

研究者らは、昨年この措置に抗議し声明を提出したが、県が2019年度も要件や補助額を改善しなかったため、2年連続の声明提出に踏み切ったのだという。また、今回の声明では、補助金の減額撤回を求めるとともに、高校無償化裁判でも不当な判決が続いていること、10月より始まった幼児教育・保育の無償化制度からも朝鮮幼稚園が除外されていることを指摘し、朝鮮学校がますます厳しい状況に立たされていることを強く訴えた。

要請団は、研究者声明の呼び掛け人である神戸市外国語大学の田中敏彦名誉教授、神戸学院大学の李洪章准教授、日朝友好兵庫県民の会の坂本三郎代表委員(部落解放同盟兵庫県連合会委員長)、日朝友好兵庫県民の会の宮本博美幹事長など6人で構成された。要請後、副知事を表敬訪問し、意見交換を行った。

その後行われた記者会見には田中名誉教授、兵庫朝鮮学園の金錫孝理事長が参加し、不当性を訴えた。また、会見では賛同人から送られたメッセージが紹介された。メッセージでは、県と朝鮮学校が歴史的に友好関係を築いてきたことについて言及があり、特に阪神淡路大震災時に朝鮮学校が避難拠点として大きな役割を担ったこと、今回の県の措置がそうした歩みを否定し、「多文化共生」を標榜する自治体としての義務を怠っているものだと訴えた。

田中名誉教授は最後に、1949年の第二次朝鮮学校閉鎖令から70年となる今年、兵庫県のこのような措置は排外主義を追認・助長する看過できないものであると批判し、抗議の声を上げ続けたいと訴えた。

一方、11月28日には、兵庫県外国人学校協議会が、県知事へ要望書を提出した。協議会代表らは、幼保無償化適用および兵庫県としての支援を要求。また朝鮮学校のみ補助金が削減されていることにも異議申し立てをし、即時全額復旧を要求。また13日にも、日本の14市民団体が連名で宝塚市長宛てに要望書を提出した。

▼兵庫県外国人学校協議会

兵庫県内の朝鮮学校6校、インターナショナルスクール4校、中華学校1校、計11校から成る。生徒数は合計約3000人。阪神・淡路大震災の被害による復興活動で協力し合ったのをきっかけに95年7月26日に結成された。

【兵庫支局】