幼保無償化適用を求め京都府文教課へ要請した

京都朝鮮学園の趙明浩理事長をはじめとする「幼保無償化を求める京都朝鮮幼稚園保護者連絡会」(以下、京都保護者連絡会)のメンバーと弁護士ら11人が10月16日、幼保無償化の差別なき適用などを求め、京都府に要請を行った。京都府議が同席した。

京都府文化スポーツ部文教課の岡部武課長が応対した。

要請では京都保護者連絡会代表の鄭英姫さん(京都初級附属幼稚班保護者)が要請文を読み上げ、その場で課長に手渡した。

要請文では、▼京都府に対して幼保無償化の根拠となる「改正子ども・子育て支援法」の早急な是正を日本政府に求めることと、▼京都府が各種学校認可の幼児教育・保育施設を無償化の対象として認め、国の方針が改まるまで財政的措置を講ずるよう求めた。

その後、保護者たちが、それぞれ次のように思いを述べた。

「他の日本の認可幼稚園や保育施設に劣らない環境を整えている朝鮮幼稚園が、個人でも運営できる施設やベビーシッターも対象になっている無償化制度から排除されるのはおかしい」

「『すべての子どもが健やかに育つため』という基本理念にも反する」

「はじめは子どもを日本の保育園に通わせていたが、朝鮮人として育てたく、朝鮮語や朝鮮の歌や踊りを教えたくて朝鮮幼稚園に通わせるようになった。それがこのような現状におかれていることを、とても残念に思う」

朝鮮学校初級部、朝鮮幼稚園、日本の保育園に通わせている保護者は、「日本で暮らすという点で同じ子どもたちが、どこに通うかによって国の対応が違うのは、親としてとても複雑であるし、腹立たしい」と述べた。

つづいて京都朝鮮第二初級学校の金栄周校長が「朝鮮学校の保護者の大半は、決して経済的に恵まれた環境で朝鮮学校に通わせているわけではない。教育の本質というのは、人間を育てること。どのような人間を育てたいかという問いへの答えとして、保護者たちは朝鮮学校を選んで、子どもを通わせている。保護者たちの声をしっかりくみ取り、府政に反映してほしい」と話した。

さらに玄政和弁護士は「多種多様な教育を行っている各種学校に対してもあまねく支援をすることが、『子ども及び子どもを養育している者に必要な支援を行い、もって一人一人の子どもが健やかに成長することができる社会の実現に寄与する』という、子ども・子育て支援法の目的にもつながると考える。幼保無償化からの除外は、朝鮮学校に通う子どもたちにとって、高校無償化の時と同様、『あなたたちは支援を受ける資格がない人たちだ』という烙印を押されていることと同じである」旨述べながら「高校無償化裁判闘争が行われているが、司法による救済を得られていない現状では、日本政府に多くを期待することはできない。京都府をはじめとした行政の役割が大きいと思う」とした。

文教課長は「皆さんの思いとともに、要請書は府内の部署と共有して検討していきたい」と述べた。

また25日には、京都市にも要請を行った。京都市議が同席した。

25日には、京都市にも要請を行った

京都市子ども若者はぐくみ局幼保総合支援室幼保企画課長と民営保育施設課長、京都市教育委員会学校指導課多文化共生担当課長らが応対した。

幼保企画課長は「以前、京都朝鮮初級学校を訪問した際に、とても熱心に教育されていると感じた。今後、学校側と相談しながら自治体としてどのような対応ができるのかを検討していきたい」とした。

京都朝鮮学園の趙明浩理事長は担当者らに対して、「先日京都府への要請行動がメディアで取り上げられた後に朝鮮学校に嫌がらせの電話があった。これ以上、子どもたちの教育の場にその矛先が向かないようにするためにも、しっかりと検討していただきたい」と述べた。

保護者連絡会は、11月11日(月)に朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋(こっぽんおり)と共催で緊急集会を行う予定だ。

【京都支局】