要請につづき記者会見が行われた

10月4日、幼保無償化の対象から朝鮮幼稚園を含む各種学校が除外されている問題と関連し、「幼保無償化を求める西東京朝鮮第2幼稚班保護者連絡会」のメンバー、西東京第2初中の司空暁校長をはじめとした学校関係者、朝鮮学校を支える町田市民の会、立川・町田朝鮮学校支援ネットワーク ウリの会のメンバーら27人が町田市役所を訪れ、市への要請を行った。

要請には日本共産党の細野龍子・町田市議会議員が同席。

町田市子ども生活部の保育・幼稚園課の職員4人が応対した。

「無知」露わに

今年8月、同校幼稚班の保護者が幼保無償化問題に関して市の保育・幼稚園課とコンタクトをとったところ、電話対応にあたった職員は同校幼稚班の存在を知らないばかりか「みんなで転園してはいかがでしょう」と勧めてきたという。

このような対応者の「無知」をおいて、学校関係者たちは学校や保護者らの窮状を知ってもらう必要性を感じ、担当課とのミーティングを提案した。

9月10日に実現したミーティングには保護者、教職員、園児・児童ら24人が参加し、同課課長ら3人の職員が出席した。

学校関係者たちはそれぞれの切なる思いを訴えたが、職員らは「政府方針に従う」との回答に終始。

さらには終盤になって、訴えに対する回答を求める場合は「要望書」を提出する必要があると切り出してきたという。

このような流れの中で今回の要請が行われた。

記者会見にのぞんだ西東京第2初中の司空暁校長(中央)と保護者たち

当日は、参加者たちが発言した後、司空暁校長が石阪丈一町田市長宛の要請書を担当課課長に手渡した。

要請書は、▼各種学校の幼児教育・保育施設を無償化の対象として認めるよう政府や東京都に働きかけ、▼同校幼稚班の子どもと保護者に対し、市独自の救済措置を講じ、▼同校の幼児教育及び保育の実態を把握するために努め、学校来校などの具体的行動を早期に行うことを求めた。

要請では4人の職員らにも学校訪問を求めたが、今回も「事務的な姿勢」(学校関係者)を崩さず「個人的な見解は控える」などと述べるにとどまった。

自分の目で見て

要請につづいて行われた記者会見では、保護者連絡会の趙丹共同代表が要請書提出の経緯と内容について述べ、司空暁校長が同校の歴史や現状などについて語った。

会見で発言した「朝鮮学校を支える町田市民の会」の瀬戸英治代表は、認可外保育施設が無償化の対象となっているにもかかわらず各種学校という理由のみで朝鮮学校が適用対象から除外されているのは「明らかに朝鮮学校を狙い撃ちにしている。

国家のヘイトと言わざるをえない」と指摘。

2013年に起きた町田市教委による朝鮮学校への防犯ブザー配布除外問題についても触れ、「町田市が市民を差別するのではなく、寄り添う姿勢を見せてほしい」と語った。

記者会見にのぞんだ保護者たち

この日、10月末で2歳になる子どもを連れて要請に参加した金和順さん(34)は、市の担当職員に対して「朝鮮幼稚班の教育や保育の実態が不透明であると言うのなら、直接足を運んで、自分の目で確かめてほしい。

朝鮮幼稚班に通う子どもたちは日本に暮らし、ともに未来を築いていく子供たちだ」と切実に語った。

また、ある保護者は涙を流しながら、「ラグビーW杯で他国の文化へのリスペクトが話題となり、来年の東京五輪に向けては多文化共生社会の重要性を謳っている。

なのに、朝鮮学校や幼稚班は差別するのか。

『国際化』とは言葉ばかりで、日本政府は時代に逆行している」と訴えかけた。

(李永徳)