声を上げ、差別意識の克服を

集会には約60人の同胞と日本市民が参加した。

「埼玉朝鮮学校への補助金再開&朝鮮幼稚園への無償化を求める2・22集会」が22日に浦和コミュニティーセンター(さいたま市)で行われ、同胞と日本市民ら約60人が参加した。集会は「外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉」(「ネットワーク埼玉」)が主催した。

あいさつに立つ「ネットワーク埼玉」斎藤紀代美代表

この日の集会は「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」が昨年11月の総会で行動提起として呼び掛けた「すべての子どもたちに学ぶ権利を!2021朝鮮学校差別反対全国一斉行動」の一環として行われた。主催団体のほか「子どもの人権ネット埼玉」や埼玉朝鮮学園など県内の市民団体や朝鮮学校支援団体が協賛した。

埼玉では2010年から埼玉初中に対する県の補助金が停止され、昨年3月にはさいたま市が新型コロナ感染予防策として行ったマスク配布の対象から埼玉朝鮮幼稚班を除外するなど、自治体による朝鮮学校差別が続いている。

集会でははじめに、「ネットワーク埼玉」斎藤紀代美代表があいさつに立った。

斎藤代表は「13年2月20日は日本政府が朝鮮高校へ高校無償化制度が適用をされないよう省令を改悪した恥ずべき日だ。われわれはこの日を決して忘れてはいけない」と語気を強めた。

また、五輪組織委前会長の女性蔑視発言について触れながら「五輪憲章は女性差別、人種差別をはじめとしたあらゆる差別に反対しているのにもかかわらず、五輪開催国である日本では朝鮮学校差別が平然と行われている。このことをもっと社会問題として広めていかなくてはいけない」と強調し、日本社会や行政に深く根付く差別意識を克服し、朝鮮学校の子どもたちに平等な学習権が保障されるよう声を上げ続けていくことを呼び掛けた。

つづいて、東京純心大学・佐野通夫客員教授が「日本の植民地教育がもたらしたもの―そして現在」をテーマに講演を行った。

佐野さんは講演で、日本の公教育が、国民意識の形成と共通語の強制による国家イデオロギーの注入と「能力選別」の道具として扱われ、植民地宗主国意識を植え付けることを目的としてきたと強調。その目的から外れる朝鮮学校が一貫して制度的保障や公的支援から除外されてきたとしながら、その延長線上に高校無償化や幼保無償化問題が存在すると指摘した。

佐野通夫さんが講演を行った

そのうえで、1947年4月の「文科省通達」や2016年の「3・29通知」、幼保無償化からの除外をはじめ、日本政府が行ってきた数々の朝鮮学校弾圧の具体的を上げながら、その問題点や不当性について言及した。

講演終了後には質疑応答が行われたほか、埼玉初中の保護者らが登壇し同校への支援を呼びかけた。

(丁用根)