〈幼保無償化〉連絡会代表ら立憲民主党に正式要請へ

矛盾するスローガン、求められる制度見直し


4日に行われた立憲民主党への要請
1日に施行された幼保無償化制度の対象から朝鮮幼稚園をはじめとする各種学校認可の外国人学校が除外されていることと関連し、「幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」では、共産党、社民党、維新の会などの各党へ、日本政府に対し同制度の是正を促すようこれまで協力要請に出向いてきた。

4日、連絡会の代表らは、立憲民主党へ要請を行った。

同党への正式な要請を行うのは今回が初となる。

要請には、同党所属の阿部知子、初鹿明博、大河原雅子、尾辻かな子衆議院議員、石橋通宏参議院議員が応対した。

連絡会からは、宋恵淑代表をはじめ東京、西東京、埼玉などから集まった保護者、学校関係者ら約10人が参加した。

冒頭で発言した阿部知子議員は、この日、内閣府および文科省に対し、各種学校をはじめ「幼稚園類似施設」も無償化の対象に含めるよう立憲民主党から政府要請を行ったことについて言及した。

阿部議員は、同制度が誰もが等しく受益できる「ユニバーサルサービスでなくてはいけない」としながら「教育の機会はすべての子どもたちに等しくあるべきだ。

党としてしっかりと取り組んでいきたい」と話した。


冒頭で発言する阿部知子議員(写真左)
つづいて、宋代表が要請書を提出。

その後、連絡会から参加者たちが順に発言した。

宋代表は、8月2日に開かれた立憲民主党主催の子ども・子育てPTにおいて、朝鮮幼稚園および類似施設関係者に対するヒアリングが行われたことが契機となり、「一切反映されることのなかった私たちの声が、制度設計をしている人たちに初めて届いた」と述べながら「現行制度の欠陥や不公平性に対し、現在多くの声が出ているが、朝鮮幼稚園は保育の受け皿として実態があるにも関わらず検討すらされなかった」と改めて指摘した。

また宋代表は、外国人学校が教育の無償化の対象から除外されたことについて、「何よりも問題なのは子どもの権利の問題から除外されたということ」だとしながら、「外国人学校の子どもたちが、健やかに学ぶ環境は、ルーツをしっかり学び出自に関して肯定的に受け止められる環境だ。

制度を早期に見直すよう日本政府に対し是正を促し、外国人学校の保護者たちの声を届けてほしい」と話した。

その後、各地の朝鮮幼稚園保護者たちからは、何ら対策が講じられぬまま、今月から制度が施行されたことに対する抗議の声が相次ぐなか、「JR定期券の権利を獲得しようと運動をしていた親の姿がすごく記憶に残っている。

それから30年以上経ったいまでも、まだこんなに不公平なことがあるのか」などという声も聞こえてきた。


連絡会から要請書を提出した
また要請の場には、父親たちの姿もあった。

西東京第1初中付属幼稚班の保護者・金勇大さんは「もともと共働きで収入も多くないため近所の保育園に預けていたが、今年から幼保無償化が始まることもあり、必死の思いで昨年開園した西東京第1の幼稚園に送ることを決めた。

正直『当たり前』に対象になると思っていた制度から外され驚きを隠せない」としたうえで「適用されないことによる保育料の負担、増税された消費税の負担、不当な除外を見直してもらうために、要請に足を運ばなくてはならない負担…二重苦、三重苦を強いられるこの状況が、今後子どもたちの世代にも続くのかと思うと、未来に向けても恐怖心を抱くばかりだ。

『当たり前』を一刻も早く回復した制度に正してください」と議員たちに強く訴えかけた。

石橋通宏議員は「今日は皆さんの怒りや悲しみ、悔しさなど共有させて頂いた。

もらった意見をしっかりと受け止め、対応していきたい」と話した。

また尾辻かな子議員は、「今回の制度に伴い、『無償化対象外施設の国による状況把握について』という自治体からの文書が届いていると聞いたが、すべての朝鮮幼稚園に届いたのか」と質問を投げかけ、連絡会から一部の自治体にのみ通知が届いたことを聞くと「なぜ調べている自治体と調べていない自治体があるのか。

決定の前に、通知が来ているのだから調べなさいとなぜならなかったのか」と、対象外施設や類似施設に対する国と自治体の対応について問題提起し、今後積極的にこの事案について動いていくと話した。


制度施行後の思いを述べる保護者たち
この日の要請は、議員らによる保護者たちへの質疑応答も含め、約1時間に及んだ。

同日、第200臨時国会で所信表明演説をした安倍首相は、教育の無償化と関連し「今月、3歳から5歳までの全ての子どもたちの幼児教育、保育の無償化が実現しました。

…子育て世代の負担を減らします。

そして、子どもたちの誰もが、家庭の経済状況に関わらず、自らの夢に向かって頑張ることができる。

そうした社会を創り上げます」と話した。

また「一億総活躍社会」を掲げた文脈においては、過去の過った国策によって被害にあったハンセン病元患者らへ言及しながら「極めて厳しい偏見、差別が存在したことは、厳然たる事実です。

…差別、偏見の根絶に向けて、政府一丸となって全力を尽くします。

『みんなちがって、みんないい』新しい時代の日本に求められるのは、多様性であります。

…多様性を認め合い、全ての人がその個性を活かすことができる」、そう発表した。

「みんなちがって、みんないい」―。

その多様性は、日本社会を構成するすべての構成員に向けられたものではないのか。

差別、偏見の根絶を掲げた日本政府のもとで、差別、偏見に声をあげる外国人らの人権は無視され続けている。

(韓賢珠)