外国人学校の幼児教育・保育施設を無償化措置の対象とすることを求める会長声明

改正された子ども・子育て支援法(以下「改正支援法」という。)に基づく子ども・子育て支援給付制度(以下「無償化制度」という。)は、本年10月1日から開始されている。
この制度は、「全ての子どもが健やかに成長するように支援する」ことを基本理念としている(改正支援法2条2項)。
ところが、ブラジル人学校や朝鮮学校など、各種学校である外国人学校の幼児教育・保育施設に通う子どもについては、法制度上、支援給付(無償化制度)の対象となっていない。
各種学校である外国人学校の幼児教育・保育施設に通っている子どもが無償化制度の対象とならない理由について、2018年12月28日に政府の関係閣僚合意として取りまとめられた「幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針」は、各種学校は「幼児教育を含む個別の教育に関する基準はなく、多種多様な教育を行っており、また、児童福祉法上、認可外保育施設にも該当しない」ことから、そこでの幼児教育・保育施設が「法律により、幼児教育の質が制度的に担保された施設」と言えないことを挙げている。
しかし、運営実態が多種多様であり、質の確保について懸念が指摘されていた認可外保育施設も、改正支援法により新たに無償化制度の対象となったことからすると、教育の多種多様性が、無償化制度の対象となることを否定する合理的理由となり得るのか疑問である。
そもそも、「全ての子どもが健やかに成長するように支援する」という改正支援法の基本理念に照らすならば、外国人学校の幼児教育・保育施設に通っている子どもであっても無償化制度の対象とするのが改正支援法の趣旨に適うところ、外国人学校が各種学校であることを理由に、外国人学校の幼児教育・保育施設に通っている子どもを無償化制度の対象から除外することは、憲法14条、自由権規約2条1項、社会権規約2条2項、人種差別撤廃条約、子どもの権利条約2条1項などが禁止する差別的取扱いに該当するおそれがある。
したがって最終的には、外国人学校の幼児教育・保育施設に通っている子どもを無償化制度の対象とする法改正が行われるべきであるが、法改正が行われるまでの間、外国人学校における幼児教育・保育施設に通う子どもが、他の無償化制度の対象となる施設に通う子どもと同様の支援を受けるための必要な措置が速やかに行われることが必要である。
この点、本年11月27日に開催された衆議院文部科学委員会において、文部科学大臣は、無償化制度の対象になっていない各種学校を含めたいわゆる幼児教育類似施設が各地域に固有の様々な歴史的な経緯を経て、現在も地域や保護者のニーズに応え重要な役割を果たしていると考えられることから、国と地方が協力した支援の在り方について年内を目途に検討していると答弁している。
そこで、当連合会は、国及び外国人学校の幼児教育・保育施設が設置されている自治体に対し、当面の措置として、外国人学校の幼児教育・保育施設を現在検討中の無償化支援の対象に含めるよう求める。

2019年(令和元年)12月20日
日本弁護士連合会  会長   菊地 裕太郎