「朝鮮幼稚園はずしにNO!すべての幼児に教育・保育の権利を! 11.2全国集会&パレード」(11月2日、日比谷野外音楽堂)では各界層から発言があった。登壇者たちは朝鮮幼稚園を含むすべての子どもたちへ無償化制度を即時適用するよう訴えた。発言の要旨を紹介する。

初鹿明博さん(立憲民主党・衆議)

本当にこの国の政府は情けない。皆が負担する消費税を財源に、なぜ貰える人と貰えない人をつくるのか。一番の問題は、認可保育園、認可幼稚園、認定子ども園を対象にしただけでなく、待機児童対策だからと指導監督基準を満たしていない認可外保育施設やベビーシッターも対象にしておいて、各種学校認可のある朝鮮幼稚園や類似施設などは対象外としたこと。

この間、保護者たちの要請に同席した。こちらの主張に対し役人の答えはいつも同じだが何度聞いても理解ができない。一日も早く制度として、すべての子どもたちを対象にすることが必要だ。一部の人たちを排斥するような国であってはいけない。

宮本徹さん(日本共産党・衆議)

安倍首相は10月4日の国会所信表明演説で、すべての子どもたちの無償化が実現したと言った。まったくの大嘘だ。首相の目には朝鮮幼稚園や類似施設の子どもたちは入らないのか。教育の無償化というのであれば、民族教育も含め、子どもの最善の利益を実現することこそ、本来政治が果たすべき責任だ。

それなのに差別で多くの人が苦しんでいても、誰も責任をとらない。世論の広がりのなかで、政府は自治体が必要と判断すれば類似施設や各種学校について支援を検討すると言い始めた。しかしこれは自治体が必要だと検討しなければ、いつまでも差別が続くということ。

国策で始まったからこそ、国がすべての子どもに無償化を適用するのは当たり前のことではないのか。

佐野通夫さん(こども教育宝仙大学教授)

高校無償化に続き、幼保無償化から朝鮮学校が排除されたことに心の底から怒りを感じている。大学の幼児教育学科で幼稚園教諭、保育士養成を行っているが、幼児教育は子どもの民族性を保つうえで重要なものだし、朝鮮の子どもたちが朝鮮幼稚園で朝鮮語に触れることはとても大切だ。

今回の幼保無償化は非常にずさんな制度。その制度中で日本政府が忘れずに行ったのが朝鮮幼稚園の除外だ。政府は各種学校が多種多様な教育を行っているということを排除の理由にあげるが、幼児教育は一人ひとりの子どもの発達や生活に即したふさわしいものでなければならないし、そのためには多種多様な教育が必要だ。外国人学校排除を許さず、真の教育の無償化を実現しよう。

寺脇研さん(元文科省審議官・京都造形芸術大学教授)

1987年10月、これからの日本が生涯学習社会を目指すという重大な閣議決定が行われた。これは、この社会に住むすべての人々に、生涯にわたり学ぶ権利を保障しようということ。時の内閣が決定したことだ。それをきちんと実行していくのが文科省のやるべきことだ。生涯学習というのは、「いつでも」「だれでも」「どこでも」学べるということ。そしてどこで学ぶのかではなく、何を学ぶかが重要で、学んでいること自体に意味がある。

自分が保障されていても同じ社会のなかに保障されていない人がいれば、それが自分にとって不愉快なことであり、自分が学べていても学べていない人がいるのは、自分が学ぶ満足感にもつながらないことだ。社会全体でこのことを考えなくてはならない。

藤野正和さん(日朝学術教育交流協会会長)

現在、日本の中でさまざまなルーツを持つ人が活躍する時代になっている。誰もが自らのルーツに誇りを持ち、それぞれの存在を認めあう日本社会を作っていくのが、われわれのありようではないか。朝鮮半島にルーツを持つ在日朝鮮人が日本に暮らす原因は、日本の植民地支配にある。そのことを踏まえるならば、日本政府が民族教育をしっかりと保障し発展させるべきであるのに、これを妨害し弾圧し続けてきたし、その姿勢は戦後一貫して変わらない。

この幼保無償化の問題は在日の方々の問題ではなく日本社会そのものの問題である。これを解決するのは私たちの義務だ。声を上げ続け、取り組みを続ければ、状況は必ず変わっていく。共に闘おう。

福島瑞穂さん(社会民主党副党首・参議)

高校無償化からの朝鮮高校除外。そして今回の幼保無償化に伴う各種学校の除外。各種学校の数多くを占めるのが朝鮮幼稚園。なぜ子どもたちが、この国で明確なる差別、経済的不利益を被らなくてはいけないのか。各種学校は、厳しい条件のなかで都道府県の認可を受けてきた。その条件を満たした各種学校が除外され、認可外施設やベビーシッターがなぜ対象になるのか。

いま、あらゆるところでヘイトスピーチやヘイトクライムが起こり、差別や排除が強まっている。日本の政治が、差別や排外主義をつくっているのではないか。この根源である政治そのものを、文科省の政策そのものを変えていきたい。

保坂正仁さん(公明党荒川区議・日朝友好促進東京議員連絡会共同代表)

どの国、どの国籍の子どもであれ、未来を担う子どもを育て、育むことは我われ大人たちの責任である。すべての子どもは未来の宝だ。仮に「平等な制度を実施した」と言いながらも、もし、そのその制度から漏れてしまった子どもたちがいたら、何とか救おうと努力をするのが政治ではないか。

朝鮮学園の子どもたちを幼保無償化の制度から絶対に排除してはならない。日朝議連に所属する超党派の数百人の地方議員たちも、全力で応援している。

先日、日朝議連の代表団として朝鮮を訪問した際にも、多くの朝鮮の人々が皆さんを応援していた。最後の最後まで、勝利を勝ち取るその日まで共に闘っていこう。

(取材班