各種学校除外の根底は朝鮮学校排除

18都府県の保護者らが参加した要請(写真は文部科学省への要請)

幼保無償化の対象から朝鮮幼稚園を含む各種学校が除外されている問題と関連し、朝鮮幼稚園が所在する18都府県の保護者らが26日、関係府省へ要請を行った。

要請は、内閣府、厚生労働省、文部科学省の庁舎で行われれ、「幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」(以下、連絡会)の宋恵淑代表をはじめとする東京、神奈川、西東京、埼玉、愛知、岐阜、三重、大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、広島、山口、福岡から集まった保護者、幼稚班関係者など33人が参加した。

またこの日の要請には、立憲民主党の初鹿明博衆議院議員が同席した。

保護者らはこの日、内閣府、厚生労働省、文部科学省をまわり要請を行った。(写真は内閣府への要請)

要請では、第11回中央オモニ大会(9月21日)で採択された衛藤晟一内閣府特命担当大臣、萩生田光一文部科学大臣、加藤勝信厚生労働大臣あての要請文を保護者代表が読み上げ、府省の担当者に手渡した。

保護者らは、要請文のなかで、①各種学校の幼児教育・保育施設を無償化対象と認め、朝鮮学校幼稚班のすべての園児たちの保育料を無償化すること、②国および地方自治体による保育料無償化のための財政的措置を講じることを求めた。

また要請では、外国人学校の幼児教育施設が一律除外され、「多種多様な教育」を理由に排除されたことについて、見直しを求める8500を越える署名が提出された。

府省の担当職員らは保護者らの要請に対し、内容を共有すると返答した。

報道されない外国人学校除外

同日午後、都内で会見した保護者たちは、各種学校の実態を検討することもなく形式的な理由をならべ、対象となる「すべての子ども」たちからわが子を排除した幼保無償化制度を強く批判した。

都内で会見した保護者代表たち

大阪から参加した金亜紀さん(北大阪初中付属幼稚班保護者)は、「高校無償化もそうだが、子どもたちの健やかな学びを支援する、その法律から朝鮮学校の子どもたちが除外されるのは、まったく理解できない」としながらダブルワークやトリプルワークといった経済的に厳しいなかでも、民族の言葉や文化を学ばせたいと朝鮮学校に送る保護者らの現状について言及した。

そのうえで金さんは「数ある幼児施設のなかで88の各種学校だけが除外される合理的理由は一切ないじゃないですか。

いま国がしていることは、朝鮮学校の子どもたちが安全に生きること、学ぶ権利の否定だ。

朝鮮学校の姿、子どもたちの姿をまっすぐに見てほしい。

存在がちゃんとみえるように報道してください」と訴えた。

「ああ、やっぱり、そう思ってしまったことが本当に悔しい」。

そう話したのは名古屋初級保護者で愛知から参加した玄裕姫さん。

玄さんは「各種学校が対象から除外されると知ったとき、『やっぱり』と、日本の社会や風潮に自分も飲み込まれそうになっていたことが悔しくてたまらない。

長女は朝鮮の幼稚園、長男は来年から認定保育園になる幼児施設に通うが、長男だけが対象になる。

同じ親のもとに生まれたのに、一人は対象、もう一人は対象外。

これが差別じゃなくてなんだというのか」と涙をこらえ続けた。

「対象となるのは5万5千施設、対象外は88施設。

全体の0.16%をあえて排除する意味は何ですか。

そのなかに、私たちが入ったら駄目なんですか」 最後に発言した宋代表は、「国は、各種学校というカテゴリーをもって、認可施設である朝鮮幼稚園は対象外だと形式的に除外した。

これは各種学校を除外することで、朝鮮学校を排除しようという動きそのもだ。

実態を調査もせず、保護者の声を聴くこともなく、私たちが赴いてはじめて声をきく。

このことに大変憤りを感じている」としながら「今日このような会見をしたのは、現在、制度の矛盾点や不足点について取り上げるメディアが居ても、外国人学校の幼児施設が除外されているという観点からはほとんど扱われていない。

なのでぜひとも取り上げてほしい」と強調した。

幼保無償化制度の施行まで1週間をきるなか、各地では要請行動や緊急集会が相次いで催されている。

連絡会では、今後インターナショナルスクールやブラジル人学校など、朝鮮幼稚園同様に除外されている各種学校などとも共闘し、関係府省や地方地自体へ働きかけを行っていく。

(文・韓賢珠、写真・金孝俊)